かなり古い映画なんだけどchikaの好きなB級映画に「ミミック」ってタイトルのSFホラーがある。 ネタばらしから言うとこの映画、突然変種の巨大な昆虫が人間そっくりに擬態しながら次々と人間を捕食していくというもの。 その擬態の見せ方が凄く上手い。一匹の昆虫が人間に化けるなんて現実には絶対あり得ない擬態なんだけど、映画の中でのビジュアルではすっごく自然に見える。 昆虫の羽の部分が、あーなってこーなって、体表の紋様があーみえてこーみえて、完全に3Dパズルみたいにシャキーンシャキーンって感じで、巨大な昆虫の身体が襤褸ロングコートを引きずった浮浪者になっていく、、、うーん。 人間と昆虫というかなり異質な生命体が混じり合っていくという生理的な嫌悪感を上手く刺激しながら、物語自体の展開が恐怖感を煽ってくる作りがいい。 蟹の甲羅とか、昆虫の翅の模様なんかで、よくみると、人の顔に見えたりするのがあるじゃない、あれには何となくオカルトぽい味があるけど、あんな感じ。 それに主人公の巨大昆虫<ユダの血統>は、蟻とカマキリのハイブッリト種の突然変異体って設定なんだけど、その飛んでくる姿は、どこからどう見てもあのゴキブリがブババって飛翔するおぞましい姿にそっくりで、それが人間サイズなんだから鳥肌が立って来る。
chikaにとって、昆虫はどちらかと言うとホラーゾーンに所属するアンノウンな生命体なんだけど、大昔にも昆虫に対して同じような感覚を抱いた人達が沢山いたみたい。 例えば1795年・播州に大量発生したアゲハチョウのさなぎを、お菊の怨念の具現として「お菊虫」と名付けたことなんかにもそれは良く現れていると思う。 あっ、その前に、この話に登場する「お菊」の説明しないとわけわかんないか。 このお菊」は怪談話の「一枚、二枚、三枚」のお菊さんなだけど、もっと正確に言うと、お菊井戸がある姫路市の十二所神社に伝わる「播州皿屋敷実録」を原型とした播州皿屋敷に登場する女性がいわれの原型。 永正年間、姫路城第9代城主小寺則職の家臣青山鉄山が、主家乗っ取りを企てていた。 これを衣笠元信なる忠臣が察知し、自分の妾だったお菊という女性を鉄山の家の女中として送り込み鉄山の計略を探らせる。 衣笠は、青山鉄山が増位山の花見の席で主家を毒殺しようとしていることを突き止め、その花見の席に切り込み、則職を救出し、さらに家島に隠れさせ再起を図った。 一方、乗っ取りに成功した鉄山は、家中に密告者がいたとにらみ、自分の家来である町坪弾四朗にその事実を調査するように命令した。 程なく弾四朗は密告者がお菊であったことを突き止めた。更に、以前からお菊のことが好きだった弾四朗は妾になれといいよったがお菊はこれを拒否した。 その態度に立腹した弾四朗は、お菊が管理を委任されていた10枚揃えないと意味のない家宝の毒消しの皿のうちの一枚をわざと隠してお菊にその因縁を付け、とうとう責め殺して古井戸に死体を捨てたのだ。 以来その井戸から夜な夜なお菊が皿を数える声が聞こえたという。 やがて衣笠元信達小寺の家臣によって鉄山一味は討たれ、姫路城は無事、則職の元に返った。 その後、則職はお菊の事を聞き、その死を哀れみ、十二所神社の中にお菊を「お菊大明神」として祀ったと言い伝えられている。 事件後300年程経ってに城下に奇妙な形をした虫が大量発生し、人々はお菊が虫になって帰ってきたと噂したのである。 お菊虫とは、アゲハチョウの類のさなぎの俗称である。尾部を樹皮に固定し、胸部を一本の糸で枝からつる。 この姿が、後ろ手に縛り上げられ、責め殺されたお菊の姿に似ているとして「皿屋敷」のお菊になぞらえられたのだ。 話は飛ぶけれどこの皿屋敷、歌舞伎でも何度も上演されてきたそうだ。 大正時代の名女形、六世尾上梅幸のお菊は、最初から縄付きで花道から登場、人妻で眉を落とし黒の着付け、本舞台で井戸に逆さ吊り斬られて、幽霊で登場したのだとか。 近年では有名な玉三郎の場合、華やいだ姿のお菊として登場し水色地に菊模様の着付けで腰元にしては随分と華麗な装いになったそうだ。 しかし玉三郎お菊でも、鉄山が邪恋のままならぬ腹立ちに、お菊を後ろ手に縛り虐待する場面でこそお菊の美しさが際だつ所を見ると、やはり皿屋敷の肝は、被虐美にあるように思えるんだよね。 この前、出張デートの出先で縛られた肌がなーんとなく、今頃疼くのは、「緊縛」って行為が、すごっく深い部分で精神的な部分と肉体的な部分で結びついているからなんだろうなぁと改めて考える今日この頃ですわん。
これも擬態の一種?
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