「しっ。黙ってろよ、もうすぐミスター真っ黒のご登場だぜ。」 「でも、あの噂は本当なの?」 「あの献体かい。この業界、いくら追い風だからって、赤ん坊だけは一山いくらで買ってはこれないさ。第一、肉親の同意書がいるし、審査機構だって最近チェックが厳しいんだ。あれが、我らが真っ黒博士自身の子どもの可能性は大いにあるだろうさ、、だから献体も嫌になる程、優秀だろうが、、。頭が良すぎるのさ、真っ黒の精子は歪んでんだよ。」 「おいおい、いい加減にしろよ。とても科学者同士の会話とは思えんよ。」 そう窘めた者もいるが、彼とて本気で、真っ黒博士こと研究所所長の漆黒隆二を庇ったわけではない。 ・・・みたいな書き出しで始まるのがchikaの短編シリーズ・JetBlackの第四弾です。 タイトルが『水槽の中の赤ちゃん』、判る人には判ると思うんですが映画「ローズマリーの赤ちゃん」を捻ったものです。 多分、映画よりもっとグロでエロです(笑)。でもジトーッて湿っぽい感じは同じかな。 小説背景の季節は冬なんですが、どちらかと言うとこれからの梅雨の季節の方が似合ってるかも。 スーパー細胞ネタの、かなり長い短編なので、美味しいトコだけ抜き出し、原文にはない過激エロを追加しました。(原文はコチラ) それでは「黴」が生えないウチにご賞味あれ。 JetBlack4『水槽の中の赤ちゃん』 この世には「出逢ってはいけない者」達がいる。 だが彼らは、それが彼らの宿命であったかのように必ず巡り会うのだ。 そしてそんな彼らが生み出すものは、これも又、約束事のように「破滅」と「虚無」である。
研究所員達が全て引き上げたあと、彼らと入れ替わるように研究所を訪れた女が一人いた。 黒のポルシェから形の良い脚を跳ね上げるようにして降り立ったのは、場末の映画館の闇から湧いて出たような毒々しい『娼婦』だった。 しかし、こんな禍々しい『娼婦』ファッションを「本物」は決して身にはまとうまい。 シームの入った黒のストッキング、厚手の黒いラバーのワンピースミニの上には、蛇柄のレザージャケットを羽織っている。 腰回りは絞り上げたように細いが、尻や下腹部は魅力的な膨らみを持っており、それを黒いラバーの光沢が、完成されたスポーツカーの曲線の様にドレスアップしている。 足下は、真っ赤なエナメルのピンヒール。 ヘッドは黒いプラステックで成形したようなボブカットヘヤーに、ピンクの先の尖ったサングラス。 ダークローズの口紅の縁はわざとブラウンで隈取りをしてある。 形の良い臀部から伸びた脚が、舗装道路をコンパスの両脚のように突き刺しながら歩いて行く。その度にラバースカートが、クチュクチュと微妙な湿った音を立てるのは、おそらく『娼婦』の計算なのだろう。 そんな『娼婦』を白衣姿の漆黒が迎え入れた。 漆黒は、待ちかねたように『娼婦』が研究所に数歩足を踏み入れた途端、彼女の薄くて高い鼻梁の下にある、呪われそうな暗赤色の唇を吸った。 漆黒の唇の隙間から、時より顔を覗かせるその舌は、濡れそぼり何か違う生き物のように蠢いている。 「急いでいたのか?」 自分の唇全部を覆うように吸われた『娼婦』は、漆黒の言葉の意味を瞬時に理解してその身体をびくんと震わせた。 「剃り残し?恥ずかしい・・・仕事が、あったんだ。」 『娼婦』の掠れた声が、漆黒の首筋を這い登り彼の耳の穴へ吸い込まれていく。 男を「感じさせる為」だけにある声。 「、、ああ判るさ。お互い忙しい身だからね。」 「綺麗でいたいのに、、。完全に脱毛してしまいたい、、。」 「いいさ。そんな事をしたらお前は仕事を続けられなくなるし、完全なオンナになら、あれで化けられる。私は、今のお前も好きなんだよ。さあこっちだ。」 漆黒は『娼婦』の肩を抱いて、研究所員用のシャワールームに案内した。 「こんな所で済まないね。私専用の実験室までは確保出来たんだが、こういったものの建て増しは、所員の手前無理なんだよ。」 「これでいいよ充分。でも出ていってくれないかな。恥ずかしいよ。」 「脱ぐのを手伝ってやるよ。それラバーだろ。爪を引っかけると破れるぞ。」 「・・やだ。」 漆黒が『娼婦』の背中に回り、その手を『娼婦』の股間と胸の隆起に置いた。 「さっき言ったろう。私はこういうお前も好きなんだ。」 漆黒の手は『娼婦』のラバーの皮膜で覆われた股間をこねくり回し始める。 漆黒の指の摩擦でラバーがペチペチと密やかな音を立てる。 その漆黒の手の動きに合わせて、さっきまで恥丘の緩やかなカーブしか描いていなかったラバーの黒い光沢のある表面が、内側から山脈のように盛り上がってくる。 「くぅ、、。ああ駄目。」 「なんなんだ?この太いのは?お前、男の真似をしてゴムホースでも股ぐらに入れてるのか。」 「いやだ、、そんな言い方。」 『娼婦』はのけぞり、形の良い尖った顎を天井に突き出している。 言葉で感じたのだ。漆黒はその首筋を吸っては囁き続ける。 「今日は、ファロスをケツの穴の方に回してないんだな。私だけに会いに来たんだものな。いつもみたいに、お前の臭くて醜いファロスを他の男共から隠す必要がないからな。ああ?直ぐにその固いのを私に吸って貰えると思ってたんだろう。」 「いや、いやよう、そんな言い方ぁ、、。」 漆黒は、『娼婦』のラバースカートをベチベチと捲り上げた。 ラバースカートの下には、肉厚の真っ赤なラバーパンティが見え、その上端から勃起したペニスのカリ首が既にはみ出している。 赤黒い亀頭は、既にカウパー氏液で濡れ塗れとテカリ輝いているのだ。 漆黒は自分の指先を鈎づめ型に曲げその亀頭に爪を立てた。 「くぅう、、虐めないで。」 『娼婦』の苦痛は、快楽の放出を堪える事から来ている。漆黒の立てた爪の為ではない。 『娼婦』の頭の中では、漆黒の爪によって、自分の男根のあちこちからホースから漏れだした水のように血が飛びちっていた。 それは『娼婦』にとって極めて「甘美」なイメージだった。 「引き抜きゃしないさ。これを取ったらお前はあの女と一緒になってしまうからな。」 漆黒は、女の顔を強制的に俯かせる為か、ペニスをいたぶっていない余った方の手で『娼婦』の髪に指をかけ、それを彼女の顔面の方に強く引っ張った。 しかし『娼婦』の頭部は動かず、その代わり黒くて腰のある艶やかな髪が、ズルリと剥けた。 「いや!取らないで。」 『娼婦』の口から、今までにない強い意志のこもった否定の悲鳴がもれる。 ウィッグの下から現れたのは、短く刈り込まれてはいるが、柔らかい髪に包まれた形の良い頭部だった。 漆黒は『娼婦』から剥ぎ取ったウィッグを、ブラシのようにして、彼女のペニスを撫で回す。 『娼婦』のペニスは、もうこれ以上はないという程、隆起し硬度を高めていた。 「駄目、いっちゃう。こんなので出したくない。抱いて。」 苦悶で歪んだ『娼婦』の顔、眉音のゆがみ、小鼻の膨らみ、きつく閉じられた目と、震える黒くて長いまつげ、漆黒はそれら全てを堪能している。 「苦痛」の表情は美しい。 そして漆黒は『娼婦』の唇を吸った。『娼婦』はそんな漆黒の唇を食いちぎろうとするように両腕を上げて漆黒の頭部を固定した。 濃厚なキス、唾液の交換、舌と舌のバトル、粘膜の交合。どこかどう猛な肉食獣の食事に似た感覚。 『娼婦』は漆黒の舌を口蓋と呼ばれる生殖器に挿入されて、たまらずに己の性を放った。 『娼婦』の股間に宛われたウイッグの黒く艶やかな黒髪に、白くてどろりとしたものが飛びちっていた。 更衣室の白いタイルの上に『娼婦』の脱ぎ散らかした衣服がある。ラバーの類はその主を失うと「服」という属性を無くして、魂を抜かれた何か奇妙な生き物のように見えるから不思議だ。 その衣服の残骸の中心には、円形の小さなスツールが置かれてあり、頼りなげな裸体がそこに静かに座っていた。 丸く屈み込んだ背中には背骨が浮き出ている。人によっては痩せていると表現するかも知れないスリムな青年の身体。 まだ、その顔からは化粧が落ちていないので、そこだけが美しい仮面を付けているように見える。 その仮面が喋った。仮面が醸し出す濃密なエロスを裏切ってその声は清純とも言えた。 「姉さんの事、ゴメンね。」 「姉さん」、山際製薬の令嬢であり、漆黒の妻であった女の事だ。名を和音という。漆黒が「成り上がる」為に手に入れた女の名前でもある。 坐児の細い肩を、背後から抱きしめながら漆黒は、自分自身の「嘘」をどうするか反芻してみた。 漆黒が妻・カズネと別れたのは彼女の弟である坐児のせいではない。 しかし坐児は、義理の兄と関係を持ってしまった自分のせいで夫婦の関係が破綻したと思いこんでいる。 だが坐児がそう思い込んでいる限り、漆黒はより多くの快楽をこの青年から汲み上げる事が出来るのだ。
漆黒は、心の中で、いつものように呪いを唱える。 自分の心がその弱さを露わにし、人のやさしさに動揺する時、この呪いは覿面に効く。 『私は人間の形をした昆虫だ。昆虫には感情は存在しない。』 それに坐児は、人が皆そうであるように『そう思いたい』から、そんな風に世界を見ているのに過ぎないのだと。 「ザジ、いつまでそんな事を、、。」 「ゴメン、今夜は僕たちの赤ちゃんを見せてくれる大切な日だったね。」 僕たちの赤ちゃん、、確かに、『それ』は坐児と漆黒の肉と血と、汗と糞尿と汁が生み出したものだ。 だが精密に表現すると『それ』は漆黒のレプリカにしか過ぎない。 それでも漆黒は坐児に優しく微笑んでみせる。 「ああ、、私たちの子どもは良く育っている。あとで見せてやるよ。」 漆黒が坐児を伴って案内した彼の研究室は、居住用のスペースが設けてあった。 そしてこの隠し部屋は外部への独自の出入り口も用意されている。 研究所員は全員、漆黒がどんなに夜遅くなっても自宅に帰り、そして自宅から研究所に通っているものだと思っているのだが、実際には漆黒は一月の内の3分の1の期間、この隠し部屋に寝泊まりをしているのだ。 坐児はこの事を知っている。他ならぬ坐児自身が、山際製薬がこの自社施設を研究所に転用する際に、漆黒の為に隠し部屋を作り出す手伝いをしたのだから。 その頃から既に、坐児と漆黒は男と男の肉体の関係を結んでいたのだ。 「うんと強い真珠にして。」 坐児が甘えたようにいった。この青年の昼間の冷厳な若き指導者としての声を知る者には、想像もつかない声だろう。 クルーカットの坐児が、かっちりとしたスーツを着込んで部下に指示を与えている場面をさしてまるで「ナチスドイツの青年将校」のようだと称した者がいるほどなのだが、。 「判っているさ。」 勿論「真珠」はこの薬の正式名称ではない。第一、これには正規の名前など付けられる薬品ではないのだ。 「真珠」は、漆黒が遺伝子操作の研究途上で偶然にその効能に気づいて調合生成された副産物としての薬剤に過ぎない。 この薬は人体に強烈な媚薬効果をもたらすが、初期反応として、接種された人体の皮膚から、真珠のような輝きを持つ粘液質の汗を噴き出させる。 その真珠のように見える汗の成分が何であるかを漆黒は理解していた。 だが、なぜ人体からそれが出るのか?直接神経に働きかける「真珠」がなぜそういった反応を引き起こすのか?その事について漆黒は理解していなかった。 いや理解する必要がなかったといった方が正しい。 「理解」それは、そうしようと思えば漆黒にとっては実にたやすい行為であり、現象であった。 「理解」など必要ない。漆黒は自分自身を科学者ではなく「途轍もなく頭がいい昆虫」だと規定していたのだ。 ようは己の欲望を満たせればすむ事なのだ。その他の事など漆黒には一切必要ない事だった。 「真珠」を摂取し続けることによって最後に何が起こるか判らない。、、それを言うならば、漆黒が研究している本業の研究全てが、そうだった。 「最後には何が起こるか判らない。」のだ。だが、そんな事は重要ではない。、、漆黒には「引き受けるべき責任」など一切なかったのだから。 全てを脱ぎ捨てた坐児の腕にゴムチューブを巻いて真珠の静脈注射をする。 先ほど放出したばかりだと言うのに坐児のペニスはもう半分勃起した状態になっている。 ボンデージとラバーフェチ、女装・同性愛。坐児が山際という家を継ぐために捨て去ろうとして捨て切れなかったもの、そして感覚、、。 「便利な身体だな。このゴムチューブを巻き付けられただけで感じたんだろう。薬なんていらないんじゃないか。」 短く刈りそろえられた頭髪の下の小さくて整いすぎた顔が真っ赤になる。そしてみるみるその全身がぬらぬらと銀色に輝き始めた。 「今日は沢山打って、久し振りだもの。」 勿論、坐児が言うように「量」で快楽の持続時間が長くなる訳ではない。 量よりは「時間」だった、薬の効果が弱まった時点で又、打てば良いのだ。しかしそれでは身体への負担が大きくなる。 だが今夜、漆黒は自分にも坐児にも寸断なく「真珠」を接種し続けるつもりでいた。 漆黒は「貯まって」いたのだ。 何処かで張りつめたテンションを下げないと、漆黒の中の昆虫は彼の「日常」を食い破ってしまう。 「ああ、、楽しもう。それよりシャワーを浴びておいで、、あれは私達の部屋に用意してある。ベィビーの目の前で私たちの仲のいいところを見せてやろう。」 坊主頭の『娼婦』はゆっくり頷いて立ち上がった。その全身は銀色に輝いて真珠人間のように見えた。 「カズネの皮だ。前よりきつくしてある。、、ああメイクは濃いめに頼む。私の知らないカズネを抱きたい。」 坐児は殊更、漆黒に「和音の皮」と言われなくても、自分の目の前にあるその生体スーツが姉の姿形のコピーである事を充分承知していた。 以前この生体スーツのプロトタイプを、漆黒に無理矢理、その身に纏わされた体験があるからだ。 その時は、山際製薬の開発した医療用人口皮膚が、このようなものに変化することに驚きを感じたものだったが、、。 人工皮膚の開発者である漆黒を、身体ごと充分知り尽くした今の坐児には、もうその事実には大した関心を抱いていない。 今、漆黒が和音の名前を口にしたのは、坐児に「姉」の皮を被る事を念押しし、彼に「姉」になることを意識させる為だった。 坐児は、自分の膝の上に膝掛けのようにぺったりと横たわっている、心の無い生暖かい生き物を眺めた。 以前、これを見た時にもその質感のリアルさに驚かされたが、今度のものはそれ以上だった。 まるで生きた姉の中身を皮膚一枚残してそっくり抜き取ったように見える。 この生き物は成長している。 坐児は身震いした。この生体スーツを身にまとった先には、罪深い倒錯した究極の快楽世界がある事は判っている。 だがその前に、坐児は一つの「恐怖」を受け入れなければならないのだ。 それは生体スーツに「呑み込まれる」事だった。 坐児は「姉」のぐんにゃりした女性性器部分を自分の股間に擦り付けた。 瞬間、自分の手の中の姉の「部分」が恥じらい蠕動したように思えた。 いや、それは錯覚だ。この生体スーツは、自分の身体の「裏側」に、取り込んだ獲物の表皮が接触しない限り目覚める事はない。 、、とうとう姉の秘部に坐児のペニスが填りこむ瞬間が来た。 生体スーツがその身体全体をくねらせながら、坐児のペニスをくわえ込み始める。 舐め上げ、吸い上げながら、姉の小陰口は拡張され、ペニスの根本をおおい、睾丸を覆い、下腹部を覆い、下半身を呑み込み、、、やがて坐児の身体は「姉の肉体」という名の小宇宙に呑み込まれていく。 坐児の皮膚感覚に、生体スーツによる全身への圧着感が均等に広がり始める。次にその感覚は、姉の皮という名の生き物が送り出す同調信号に翻弄された。 その結果、引き起こされる圧倒的でしかも極限的なトランス感覚の為、坐児は一瞬、意識を失った程だ。 坐児は、両の手の親指を立ててL字型にしてから、自分の筋肉質の上に新たに現れた乳房を下から押し上げその座りを確かめてみる。 その瞬間、坐児の全身に身震いするような暖かな刺激が走った。 それは生体スーツに付与された、自分自身への刺激をコンバートして、坐児の皮膚感覚に快感として送り出すという機能の結果だった。 坐児は自分の肉のハイネックの部位から、下全てを覆った生体スーツを肩を竦めて撫で上げる。 愛おしさもあったが、その皮膚のすべらかさ、肌理の細かさには、人の手の愛撫を呼び込む魔力があった。 生体スーツの表面には、人間の体毛にあたるものがなく、ラバーやPVC素材と人間の皮膚のハイブリッド状の質感を維持しており、それが新しいエロティシズムを発散していたのだ。 坐児は、立ち上がると自分の腰回りが、生体スーツのコルセット並の矯正力によって充分魅力的に絞り込まれているのを確認して、化粧台に広げられたマスクを取り上げ、漆黒にそれを手渡した。 今は人間の顔面の「開き」のように見えるそのマスクは、生体スーツと同じ素材で生成されていたが、スーツのように自分の力で人体に吸い付く機能を持たなかった。 和音の顔を模したフルフェイスマスクは、生体スーツから分離された存在だった。つまり個体がマスクとスーツに別れて二体ある事になる。 漆黒がわざとそんな手間をかけたのには、二つの理由があった。一つは坐児の顔を、和音の顔に、自らの手で変化させたいという思いからである。 もう一つは、中に包み込まれている坐児の神経系統に対する生体スーツの反応を、2系統に分離したかった為だ。 漆黒は、首から断ち切られた形の和音のマスクを、坐児の頭頂部から被せ始めた。 坐児は男にしては小顔だったが、それよりはいくらか小さい「和音の顔をした肉袋」に、その頭部を詰め込んで行くのは、蛇が己より大きな獲物を呑み込む有様のようで、視覚的に奇妙な刺激があった。 坐児の形の良い薄い鼻が一旦、生体マスクに押しつぶされ見えなくなり、和音のこれ以上ないほど縦に引き延ばされた口の穴から再びその姿を見せる。 そういった「姉の顔」を被る過程を経て、坐児の顔は「姉」そのものになって行く。 和音の顔はゆがみ、形を整え再び歪み、坐児の顔面に寄生していくのだ。 「綺麗だよ、、。この時のお前が一番好きだ、、。」 この人は歪んでいる、と坐児は顔面を拘束する暗黒の革を張り付けられながら思った。 母性に満たされなかったから、女性の美に復讐しようとしているのだ。そしてこの人は「男」しか安心して受け入れられないでいる。 「さあメイクして私にカズネのうんといやらしい顔をみせておくれ。」 「ザジじゃ駄目なの、。」 和音の声は染みわたる程の悲しい響きを持っていたが、その表情は、形のよい唇が左右不均衡につり上がった嘲笑に歪んでいた。 マスクを被った者の感情と正反対の表情がマスクに現れるのだ。 それこそが漆黒が、己の快楽をより深める為、生体マスクの坐児の顔面の動きに追随するシンクロ機能に対して仕掛けた罠だった。 坐児自身は、その事をまだ深く理解していない。 坐児がこの生体スーツを装着するのはプロトタイプも含めてこれで3度目だが、その度に「姉」に変身して「義兄」に犯される設定に舞い上がり続けてきたのだ、ゲイの上に女装癖のある坐児にとっては無理もないことだった。 「さっきも言ったろう。普段の女の格好をしたザジも好きだと、、。でも今のお前はカズネじゃない。カズネに似てるけど、代用品ってわけじゃないんだ。私の新しい恋人なんだ。それでいいだろう。」 「悲しいね、、。よっぽど小さい頃、お母さんに捨てられた事がショックだったんだね、、。」 確かに母は父を捨て、父は私を捨てた。そして誰も私を拾わなかった。坐児はその事で私がこうなったと思いこんでいる。 だがそれは違う。親に捨てられたのは事実ではあるが、その事から何を汲み取るかは、又、別の問題なのだ。 私は小学校の低学年でその事を悟った。第一、虫である私には、それらの体験から「悲劇」を汲み上げるための情動というものがないのだ。 漆黒は、彼の為に用意してやった化粧台に坐児が座るのを見つめながら己の思いを反芻してみた。 坐児の肩が奇妙にまるっこい。 漆黒の脳裏に、同じような丸っこい肩を幼い日々に何処かで見たような記憶が浮かび上がって来た。 母親の記憶だろうか、、。だが今は、その肩の向こう側には、照度を落とした薄暗い緑の蛍光を放つ水槽があるだけだった。 漆黒達の「赤ちゃん」がいる水槽だ。 坐児が正装し終えたら、約束通り「赤ちゃん」に対面させてやろう。
「出来たわ。」 和音がベッドの片隅に腰掛けている漆黒に振り向く。坐児はうつむき加減に恥じらっているのだが、それとは逆に和音は下から漆黒を眼寝付けるように睨んでいる。 和音の白目の部分が鈍く光っていた。 娼婦の和音。漆黒のペニスがキツク固く勃起している。 「娼婦見たいな姉の顔を見て感じているの?、、、悲しいね。でもそんな漆黒が好き。貴男はいつも冷酷なふりをして生きている。私がそれも含めて全部、愛してあげる。」 私は常に演技をして生きている、そしてそれは完璧だ。『あなたは、見かけ通りの心底冷たい人間だ。』と私の事を指摘した人間は、男にも女にもいない。 それとは逆に、もしかすると『あなたの冷たさは演技で、本当のあなたは優しい本質を持っている』等というおめでたい人間がいたが、それも又、当然私の事を言い当ててはいない。 私が、過去に生み出してきたのもの、これから生み出そうとするものの正体を知れば、どんな人間も震え上がると同時に、それらを生み出した私の本質に恐怖する筈だ。 例えば私達の「赤ちゃん」がその良い例なのだが、。 個人の欲望の為にのみ、生み出されたものは、やがて世界全体を腐らせていく。これは単純明快な原理だ。だがこれを心底意図して行える者は数少ない。 私はその数少ない者の一人であり、私の生み出す「破壊」や「虚無」はとてつもなく大きくて凶暴なものなのだ。 「その前に、約束だ。私たちの赤ちゃんを見せてやろう。」 漆黒は和音に成りきった坐児の手を取り上げて、部屋の奥にある水槽に彼(彼女)を誘った。 漆黒は、水槽の照明のスィッチをつけてやる。水槽の薄暗い緑が、蛍光を含んだようなライムグリーンに輝く。 和音の口から小さい悲鳴があがり視線を水槽から逸らそうとする。 「なぜ顔を背ける。」 漆黒は背後から左手で坐児の額を押さえ、右手で頬を押さえた。人の肌とゴムの間のようなヒヤリとして吸い付くような感覚が、漆黒の加虐の心をより強く刺激し、漆黒は和音の頬をより強く掴んだ。 坐児の唇が押しつぶされたゴム管の断面のように醜く歪む。 「あっガァ、、。」だってぇ、とでも言ったのかも知れない。漆黒は和音の頬に食い込ませた自分の指の力を少し緩めてやった。 水槽の中には、黒いビニール製の赤ん坊のようなものが浮かんでいた。 いや、横腹から内側を囲むように畳まれた数十対の補脚があるから黒い人型の甲虫といった方が良いかも知れない。それが、緑の液体の中でゆっくりと浮遊し回転している。 そしてタイミングが合うと、時々、その顔の正面を漆黒達に見せる時がある。 赤ん坊の皺だらけの顔の中央の裂け目がゆっくり開いてそこから金色の瞳が見えた。 「いや。こっちを見てる。」 口がまともに動かないから奇妙なイントネーションでカズネが怯えたように言った。 「綺麗なママの顔を、もっと見たいらしいぞ。」 漆黒は、自分の指を和音の顔の左右から、彼女・彼の口の中に潜り込ませる。 漆黒は自分の指を左右に引っ張り、和音の顔を醜くく歪めながら、その顔の向きを水槽に固定する。 尚も、和音は抵抗するかと思えたが、予想に反して坐児の舌は、自ら漆黒の指に絡みついて来た。唾液がボタボタと漆黒の指を濡らす。 漆黒は、身体を入れ替え、唾液で濡ら付いた両手で坐児の顔を挟み込みその人面マスクを弄り始めた。 漆黒にとって「美しさ」とは、漆黒の中の「女」、あるいは彼自身その事を否定していたが母性の象徴だった。その「美しさ」を蹂躙し、汚し醜くする事、それが漆黒の性衝動だったのだ。 和音の形良く尖った鼻の頭に指先を当てて、こねくり回す。鼻の穴を広げてやってからそこに舌先を突っ込んでみる。 「アンッ苦っ。」坐児の短いが甘い吐息が漏れる。 漆黒のそれら全ての行為が、坐児の異なった肉体の部位への快楽刺激としてコンバートされ坐児の脳神経に注ぎ込まれているのだ。 たまらなくなった坐児は、自分の左手を和音の乳房に、右手を和音の秘部に差し入れた。 「お願い。解放して、、。お願い。」 「何を解放するんだい。お姫様。」 「ペニスよ、、。」 「ペニス?お姫様にはそんなものが生えてるのかな。」 「意地悪言わないでぇ、、。このままだと狂っちゃう。」 「判った。だがなぁ、、お姫様のファロスはカズネのクラインの壷の中なんだよ。壷の中で魚の開きみたいにひっくり返っているんだ。表が裏で、裏が表の例の奴さ。だから絶対、お前のファロスは外に取り出せない。」 坐児の手は、そんな漆黒の言葉のいたぶりと、自分の顔の上をはい回る舌の刺激を受けて、和音の恥丘に封印された己のペニスを更に激しく揉み上げる。 バチュっと魚が跳ね上がった音がした。ついに和音がその内に捕らえていた弟の男根を解放したのだ。 和音の股間から突き出したペニスをしごき上げようとする坐児の手首を、漆黒が掴んで止めた。 「駄目だよ。カズネ、、約束したじゃないか。私の目の前でやってみせるんだろう。隣の部屋でザジ君が聞き耳を立ててる。」 「、、、漆黒、、。」 漆黒は聖母像の前に跪くように、和音の生体スーツを着た坐児の前に屈み込んだ。 坐児は泣きながら、そして和音は嘲笑いながら、腰を大きくグラインドさせて己がペニスをしごき上げ始める。 漆黒は、坐児が身にまとう生体スーツの乳首が、激しく勃起し、2倍ほどに膨れ上がるのを見つめながら、坐児の放つ精液を受け止める為に自分の口を大きくあけた。 「あの子は、あのまま大きくなるの?」 坐児が漆黒のペニスをしゃぶるのを止めて聞いた。「真珠」の効果を得ている二人には、この程度の中断は、彼らの快楽の波を引き下げる事には繋がらない。 逆に、ともすれば鈍磨しがちな感覚を研ぎ澄ます事になる程だった。 漆黒は自分の股ぐらの下にあって、自分を見上げている坐児に教師のように答えてやった。 「昆虫の幾つかは、成長の段階で大きく様変わりするのを知っているな。それは、それぞれの時期にそんな形を取らざるを得ない理由があるからだ。人間だって理由があれば変化してもいいのじゃないかな。?」 「あの子の理由は?」 「外敵から身を守るためさ。あれにとって今の世界は敵だらけだ。あれには、とても強い外皮が必要だ。」 坐児が漆黒のペニスを頬ずりする。そのペニスには、大小さまざまな丸い突起の人工物が埋め込まれてあった。 坐児の「男」に対する肉欲愛は一定ではない。坐児の地位、彼の所有する権力を持ってすれば、選り取り見取で男達を「食べ」られる。 そんな坐児が肉欲においても結局、漆黒に戻って来るのはこのグロテスクなペニスのせいだった。
野卑な男に汚され力で組み敷かれる事、それが坐児の育ててきた妄想だったが、現実にいるそのような立場の男達と付き合う事は今の坐児にとってリスクが大きすぎた。 坐児には、彼がまだ学生の頃、女装をして場末の映画館で関わった野卑な男とのトラブルを、姉に処理して貰った苦い思い出がある。 「今はあんな形でも、さなぎを脱ぐみたいに、大きくなったら人間みたいになるの?」 「ああ、そして途方もなく長生きをする。自分の記憶容量を定期的に空にして行かなければ耐えられないぐらいにな。」 「なんだか、可哀想。」 「口を開けろ。」 「なんで。」 「いいから口をあけろ。」 漆黒は、屈み込んで自分の唾を坐児の口に垂らす。唾液は糸を引きながら和音の白い顔面に落ちていく。 坐児は目を閉じてそれを美味しそうに飲み下し、唇についた残滓も味わい尽くそうと舌で舐めた。 「どうだ。男に唾を吐き掛けられているいまのお前は、可哀想か。」 坐児は激しく首を振って、再び漆黒のペニスに武者ぶりついた。 漆黒は和音の形の良い乳房をもみ上げる。生体スーツがその感覚を増幅して坐児の乳首に伝える。 「はうぅ、、。」 坐児は七回目のペニスの勃起を迎え、和音の股間からその形をそそり立たせる。 「カズネ。」 漆黒は坐児の勃起したペニスを掴みながら、坐児をベッドに押し倒し、更に右手でお互いの勃起したペニスを二本併せ握って擦り合わせた。 そうしながらも漆黒は、和音の形の良いお椀を伏せたような乳房や、その上にあるピンクの乳首への、唇と舌での愛撫を続けた。 二人の男の肉棒は透明な体液でにちゃにちゃと糸を引きながら、同じ極性を持つ磁力が反発し合うあの微妙な力を保持しつつ、お互いの快楽を高めていく。 坐児の兜型の鰓の張った赤黒い鬼頭が、漆黒の真珠のような球を埋め込んだ鬼頭の鈴口を擦り上げて行った。 「ああカズネ、、。」 「いやぁあ、、。僕は姉さんじゃない。」 坐児は狂ったように漆黒の口の中に自分の舌を割り込ませ、その言葉を塞いだ。 だがその顔はどこから見ても坐児の姉、つまり和音そのものだった。 坐児は漆黒の頭の中の姉を追い払う為に、漆黒の筋肉で固く引き締まった尻の双丘の間に手を這わせて行く。肛門の周辺を愛撫し、漆黒の口を犬の様に舐め上げその口の中で舌をのたうち回らせる。 勿論、坐児は漆黒の肛門の中まで舌を使うし、彼の小水をも飲み下せる。 美しく聡明な漆黒の妻が決して夫に与えなかった行為を、弟であり男性である坐児が、それらこそが己の存在証明の唯一の方法であるかのように、漆黒に惜しみなく与え続けるのだった。 「済まない。ちょっと抜ける。」 漆黒には、今日無理矢理休ませた乾の研究を続ける為に、どうしても目視が必要な乾のシステムがあったのだ。それに、次の「真珠」を打っても良い時期だった。 振り返ると坐児は力無くベッドに横たわっており、白い肩と乱れた黒髪の隙間から白い頬が見えるだけだ。 坐児にも「真珠」の効果が薄れ始めて来る頃だった。
乾のシステムは、漆黒が予想した通りなんの問題もなく作動し続けていた。 途中でプログラムを組み直す必要もない。乾が今取り組んでいるプロセスに置いてしばらく変異は起こり得ない筈だ。 漆黒には、乾システムの次のステージどころか、乾の最終的な研究結果まで予測できていた。 漆黒の口元に苦笑が浮かぶ。考えればこの研究所の全てが漆黒のダミーに過ぎないのだ。 資金と設備、漆黒の仮説を実証するための研究員達、それら全てが漆黒の頭脳によって2重に運営されている。 その内の一つ、つまり山際製薬に依託された研究は既に「答え」が出ている。 その「答え」は、漆黒が山際製薬の財力を存分に絞り取った後で報告してやれば良い。 研究所のリノリュウムに接していた漆黒の素足が冷えてきた。 先ほどまで坐児がしゃぶっていたせいもあって足の皮膚の表面が突っ張る。 こんな日常的で微細な感覚が、皮膚に生まれるのは真珠の効果がもうすぐ切れることを意味していた。 坐児は、初め自分の目から涙が、文字通り滝のように流れ出している事に気が付かなかった。 生体スーツの感度は、嫌と言うほど上げて在るのに、顔のある部分は唇の一部分を除いて作為的に感度が弄られてあったからだ。 姉の顔は独自の意志を持ったかのように、その下にある坐児の顔の変化を意地悪く変調させながら反応する。 坐児が笑えば、姉はあざ笑う。坐児が訴えかければ、姉は疑う。 坐児が目を伏せた時、姉は睨み付ける。美しく醜く。 「感覚」の使いすぎだ、と坐児は思った。オーバーヒートして感覚が焼き切れかけている。 「真珠」だ。今直ぐ、「真珠」を打たなければ。 坐児は、ふらつく足取りで漆黒が注射器セットを置いたテーブルに向かった。 「ザジ!何してる!!」 漆黒は自分の口から人間的な声が出るのを、遠い気持ちで聞いた。 坐児は漆黒が部屋に戻ってきた事も気づいていなかったようだ。 「言ってあるだろうが!それはスーツを脱いでからだ!」 肩を掴んで振り向かせた和音の顔をした坐児は、宛然と笑っていた。つまりその下の顔は、苦悶でひきつっているという事だ。 和音の、まるで別の卑猥な生き物の様な素足の近くに、空の注射器が転がっている。もう間に合わない。 効果が切れかけた時の2度目の真珠は、砂漠に落ちた一滴の水滴のように人間の神経に吸い込まれる。 坐児が漆黒に飛びかかる。己の内に急速に高まってきた肉欲を満たす為だ。 壁際に設置して在る水槽の水面が、それにシンクロするようにゆらりと揺れた。 それと同時に、部屋中を段だらに染め上げた緑の斑のある光が動く。 漆黒は坐児を抱き留めながらちらりと水槽を横目で見た。 「反応している、、。こちらの事が判るのか、、。私の意識は、まだお前にアップしていない筈だが、、。」 思わず漏らした言葉を、己へのそれと勘違いした坐児が、漆黒の胸に埋められた顔をあげる。 完全に狂気に陥った訳ではないようだ。 「私も真珠を打つ必要がある。判るな、、。楽しみたいだろう。ベッドで大人しく待ってるんだ。」 漆黒が優しく坐児に囁きかける。だがそれは致死量の毒のような嘘だった。 漆黒が今直ぐ取るべき行動は、例え無駄な足掻きといえども、坐児の身体を覆っている生体スーツを脱がしてやることの筈だった。 漆黒は全てを見通していた。やがて、いや既に、坐児の身体には真珠が浮かび上がり、生体スーツは、いつものようにそれを坐児の汗や分泌物の積もりで摂取しようとするだろう。 しかし「真珠」は分解されず、生体スーツはそれに対抗してもっと強烈な浸食液を分泌する。 それは客観的にみれば、坐児が生体スーツに「溶かされる」のと同意になる。 漆黒には、坐児のような男をもう一度、手に入れる自信があった。 ただしその男の社会的なステイタスレベルは、坐児よりも下がるだろうが、、、。 そういった意味での喪失に対する痛みは、漆黒の中に少しはあった。 だが、これから起こる事と比べれば、そんな喪失感など、どうという事はない。 結局の所、漆黒は人間の形をした昆虫なのだから、。 生体スーツが坐児との接触不良を起こし始めていた。 和音の男好きのする顔がボコボコと沸騰し、歪んだ。 「沸騰する顔」漆黒はそれを美しいと思い、いつまでも眺めていたいと思った。 「熱い。」 坐児は津波のような快楽に晒されており、通常の痛痒感や皮膚感覚から遮断されている筈だった。 その坐児が「熱い」と言ったのだ。 「苦痛」だ。 想像を超える「苦痛」が坐児に到来する兆しだった。 漆黒はベッドサイドから、性具の内の一つを取り出した。 赤い硬質のゴムボールを中心にした、しっかりした作りの皮製ボールギャグだった。 本当の拷問にも充分使えるだろう。坐児のこれから上げるであろう甲高い悲鳴や、叫び声は漆黒の好みではない。 坐児は、ボールが口に挿入される時に、すこし抵抗を示したが、それは演技だった。 いつものようにSMの「遊び」が始めまると思っているのだ。 確かにSMが始まる。 ただし究極のサディズムと、常人には受け入れがたい地獄のマゾヒズムだが、、。 漆黒は和音の両脚をMの字に開かせた。 赤いボールと唇の間には唾液がしみ出しているが、それに少量の血が混じっている。 姉譲りの大きくてきつい切れ長の坐児の目は、熱に浮かされたように視点を失っている。 マスクと坐児の目の回りの接合部を誤魔化す為にはかれたダークグリーンのマスカラに血の赤が混じり込むのも時間の問題だろう。 絶え間ない快楽に弛緩した和音のマスク。その下には和音の顔に食いつぶされて融け爛れた坐児の顔があるに違いない。 漆黒はゆっくりと味わうように自分の視線を、和音の顔からMの字の中心部に移動していく。 菊座部分の生体皮膚は、坐児本来のA感覚を損ねない為に極薄く造り込んである。 従って腐食も緩やかな筈で、漆黒が己の男根を挿入するのには問題はなさそうだった。 だが坐児のペニスはそうは行かないだろう。今、坐児のペニスは和音の女陰から突き出し、角のように彼の腹部に向けて反り返っているが、ちょうどその根本では溶解が起こっている筈なのだ。 漆黒はまるで貴重な神の食べ物を盗み食いする人間のような慎重さと慢心をもって、坐児のペニスをゆっくりと口に含んだ。 坐児が、腰を使って己のペニスへの愛撫を増加させようとする。そして次に坐児は高まってきた己の快感を逃さない為に内太股で漆黒の頭部を挟んだ。 漆黒は、坐児の内太股に密着した自分の耳を通じて「音」を聞いていた。 それは、夜の底で流れる小川のような更々とした音のようにも、子猫がミルクを舐め上げる音のようにも聞こえた。 和音の美しい「皮」の裏側にある醜い蛭のような「内側」が、坐児を貪り食っている音だ。 その音の強弱は、坐児のペニスを口の中で擦り上げる漆黒の舌のリズムと呼応していた。 漆黒は、その「音」を坐児の内側から聞いて見たくなった。 漆黒は身体の上下を入れ替えて、己のアナルやペニスを坐児の顔面に擦り付けた後、坐児のアヌスを舌で柔らかくしてやった。 あらゆる体位を試す漆黒ではあるが、彼の最後の体位は、支配と征服を表すドッグスタイルしかなかった。 ペニスを潜り込ませたあと、漆黒は己の肛門を締めて腰を前に突き出し、ペニスに埋め込んである突起物から極細の神経ケーブルを坐児の体内に打ち出した。 神経ケーブルは坐児の体内に広がって行き、やがて坐児の脳神経にコンタクトするようになる。 漆黒はそうやって二倍、いや犯す者と犯される者の二乗の快楽を得るのだった。 漆黒の目の下で、意識して注視しなければ見えない糸のような生体スーツのファスナー部分が和音の背中に見えた。 その糸の線にそって薄くて儚げな、小さな小さな赤い点が浮き出している。 血だ。 生体スーツは、人体に張り付きそれを取り込む事は出来ても、自分の中の人体を排出する事が出来ない。 何時もならこのファスナーを開いて和音の中から坐児を取り出してやる筈だったが、、、。そう、、。 いつもなら、生体スーツの中から上気した肌を見せながら現れる坐児の美しい裸体を、スーツから立ち上る彼の汗と脂粉の入り交じった匂いを嗅ぎ、赤子を取り上げる産婆の慈しみで、スーツから逃がしてやるのだが、、。 今、それをすれば生体スーツからはドロドロに融け崩れた坐児の皮膚組織が噴きこぼれ、濃厚な血の匂いが立ち上るだけだろう。 背後から漆黒に犯され続ける坐児を水槽の中の赤ん坊が見下ろしていた。 その赤ん坊の白目のない金色の瞳は「冬の夜の満月」のようだった。 しかしその「満月のような目」を見ているのは自分なのか坐児なのか、漆黒には判別出来なかった。 漆黒のペニスに埋め込まれた突起物から発射された微細の神経ケーブルが、坐児のアナルを通じて体内を遡り、坐児の視神経にリンクしているからだ。 それにすでに「壊れている」坐児から得られる筈の、漆黒が味わうべき「体験」は、いつものように他人格のものとして分離しておらず「混濁」していた。 だが漆黒なら、培養体の目をみて「満月のような」と感じたりするような事は決してない。 従って漆黒は、今見ているものは坐児の視点なのだろうと判断した。 一方、坐児は既に「苦痛の彼岸」におり、自分にリンクした漆黒を平安な気持ちで見守っていた。 この時点で既に「山際坐児」は死んでいたのだ。 彼の身体は「真珠」と生体スーツが動かしているに過ぎない。 死者こそは至福者である。安寧の内に全てを「許容」する事が出来る。 坐児は、水槽の中にゆたう赤ん坊を見て感じた死者にこそ与えられるある種の予見を、漆黒に伝えてやりたいと願っていた。 冴え冴えとした月は、あまりに鮮明でそれを見上げる地上の「人」にとって、それは残酷なほど「近く」にあるように見える。 故に、人が、何か道具を使えば月に手が届くと思ってしまうのも仕方のない事なのだ。 その錯覚から「美しい夢」が生まれ、時には「残酷な現実」が生まれるのだ。 そして今、坐児は、その両方の存在となっている。 今、坐児がなさねばならないことは、この「月と人との関係」を、いつこの男に教えてやるかという事だけだった、、。 ライムグリーンに光る培養液の中で漆黒と坐児の息子は、彼の両親である二人のオトコの「哀しい性交」を眺め続けていた。 その目は冬の夜の満月のように冴え冴えと輝いていた。 ビン勃ちニューハーフデート 綾香
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